この時の俺は、まさかお前と友達になるなんて思ってもいなかった。
初めての会話は、とても軽いものだったけど、あの言葉には重みがあったんだよ。
気づいてくれたか?優…。
クラス発表の掲示板へと向かう俺たち。
けどすごい人でまともに見られない。
沙紀なんて人に酔っているようだ。
あまり良い表情をしていない。
「大丈夫かよ?ちょっと離れようか?」
「大丈夫…。何組になったか気になるもん…」
涙目になっているよ。
大丈夫じゃないだろ?
さっさと見て、ここから抜け出させてやるからな。
俺は長身を活かして、クラスを見る。
けど人の頭が邪魔だ。
…その時、隣からある人の声が聞こえてきた。
低いけれど甘い声。
声を聞いただけで惚れてしまいそうだ。
横を見ると、そこには俺と同じくらいの身長の男が立っていた。
一緒に来ている友達のクラスを見てあげているのだろう。
それより、その男がとても魅力的だった。
無造作に整えられた淡い茶色の髪の毛。
そしてほんのり白い肌に、赤い唇。
細身の体に制服がとても似合っている。
まるで『王子様』
息が出来なくなった。
同じ異性にこんなにも魅力を感じるなんて。
お前は知っていたか?
俺たちの初めての出逢い。
お前の名前を知るのは、あと少し経ってから…。