先に歩く沙紀の背中に向かって、あることを聞く。



「なぁ、沙紀は本当にこの学校でよかったの?沙紀ならもっと上の学校行けたはずだろ…?」




そう、沙紀は俺より頭が良かった。
常に十位以内に入っていたし、当然有名な私立大学の付属の高校へと進学するのだと思っていたけど、沙紀が志望したのは俺と同じ清秀高校。


本当に沙紀はそれで良かったのかな?
俺に合わせて、良かったのかな?
ずっとそれが気になっていて、なかなか聞けずにいた。



沙紀はくるりと俺の方へ向いて、笑顔を見せる。


「歩と一緒じゃなきゃつまらないもん!それに、歩が浮気しないか見張らなきゃいけないしね!」



その瞬間、また沙紀が好きになった。
ううん、これはもう《愛している》だ。




「浮気なんかしねぇよ!」




繋ぐ手と手。
俺たちは大きな一歩を踏み出した。




数分後、俺はお前と出逢うこととなる。
運命って意外と近くに存在するのかもね。