今日から俺たちが通う学校。
建前はまだ新しい。
門の前で一旦自転車を止めて沙紀を降ろさせる。

「着いた!大きいねぇ!それに人が多い…」



沙紀の言葉を聞いて、俺は辺りを見渡す。
確かにすごい人だ。
門の前に立て掛けられている《入学式》という看板が、人混みのせいではっきりと見えなくなっている。


足元には散った桜の花びら。
踏まれて土色に変わっている。



再び校舎を見上げる。
膨らむ期待。
膨らむ不安。


俺は不安の方を消すかのように、ごくんと生唾を飲んだ。



「よし!行くかー!!」


自転車を引いて、沙紀に合図をする。
沙紀は『うん』と笑顔で頷いて、俺のあとをついてきた。


そしてまず向かった場所は、駐輪場。
《一年生》と書かれたプレートを確認し、自転車をそこに止めた。


クラス発表がされている掲示板に向かおうとした瞬間、あることを思い出す。



俺はずっと疑問に思っていたんだ。