漕ぎ始めは順調。
風が味方してくれる。
沙紀は軽いから全然楽だ。
「今日、友達出来るかなー?俺不安なんだけど」
「出来るでしょ!歩なら!けどその髪色だからみんな近寄んないかもよ?」
後ろで笑う沙紀。
俺は上を見て、自分の髪色を見た。
髪色は相変わらず金髪に近い色。
これでも落ち着いた方なんだ。
けど一度色を抜いた髪の毛に暗い色を入れても、なかなか入らなくて、また金髪に戻ってしまったのだ。
まだ親父への忠告は終わっていない証。
「やっぱりまずいかなー?ま、いっか!」
前向きにいこう。
前向きに考えないとまた孤独になってしまう。
「けどあたしはこの色好きだよ!」
「は?聞こえねぇー」
こうわざとらしく言うと、沙紀はまた俺の背中を叩いた。
自転車を漕ぐ足が速くなっていく。
このワクワクとした気持ちが冷めない間に、学校に着きたい。
そして数十分後、新しい学校へと着いた。