沙紀の言葉が部屋中に響き渡る。
そして俺の心の中へまで響き渡った。


沙紀の必死な表情が、彼女を強いと主張している。

瞳を潤わせて、手を震わせて、親父のことを怖いと思っているはずなのに必死に立ち向かう沙紀の姿を見て、抱きしめたくなった。


俺は親父の体を沙紀の前から退かし、沙紀を包み込んだ。


見られてもいい。
親父に見せつけてやりたい。
俺たちの愛を。



「沙紀!!もう何も言うな…。お前の気持ちは分かったから…」




ほら、我慢しないで。
泣いてもいいんだよ。
俺の胸の中だったら、恥ずかしくないだろ?


ほら、我慢しないで…。



沙紀は俺の心の中が読めたのか、俺の胸に顔を埋めて声を殺して涙を流した。


そんな沙紀の頭を撫でながら、親父を見上げる。


俺はお前を抜かしてやるよ。
身長も、権力も、なにもかも。


そしてお前から自由を奪ってやる。



そしたら平等だろ?




「親父、俺はお前がいない間に成長してるんだよ。だから沙紀を傷つけんな。俺は沙紀を愛してるんだから」