司の言葉の意味を理解しようとする。
俺はいつ司のモノを奪っただろうか。
昔に遡り、司と出逢った頃を思い出す。
司と出逢ったのは幼稚園の頃だった。
私立の有名な幼稚園に通っていた二人。
司は一つ上のバラ組で、俺はヒマワリ組だった。
ふと思い出した。
そうだ、あれだ。
俺と司が初めて喧嘩した理由。
それは先生の取り合い。
司はある先生が好きで、いつも一緒にいた。
俺も段々とその先生の方が好きになっていって、奪ったのだ。
奪ったというと人聞き悪いけれど、司から先生を取ったのだ。
それくらいしか思い当たらない。
あと司が使っていたオモチャとか。
それくらいだ。
それを未だに根に持っているわけ?
なんだよ、それ。
「司って心が狭いよな。」
呆れてついついこんな言葉を漏らしてしまった。司の心があまりにも小さすぎて、可哀想に思えた。
「なんだと?お前に何が分かるんだよ!!小さい頃からお前に奪われたモノは沢山あるんだぞ?」
司が俺の体を壁へと叩きつける。
痛くないよ、こんなくらい。
「沢山って…なに?
先生?オモチャ?それとも…沙紀?」