「昨日、沙紀に言われたんだよ。『別れよう』って。理由聞いたら、余計ムカついた」
司は廊下の壁にもたれ掛かって、言葉を並べていく。
太陽の光が、俺を照らしていく。
まるで応援してくれるかのように。
「…そうなんだ?」
本当に別れたんだ。
司の言葉に納得をしている俺。
別れたのなら、沙紀にアプローチしてもいいよね?
けど、今はここにいない沙紀が心配だ。
アプローチより、悩みを抱えている沙紀の方が。
別れたのならそれでいい。
だから先に進んでもいい?
俺は司を置いて先に進もうとした。
「その理由が『好きな人が出来た』だってさ。
そいつの名前聞いた時にはもう力が抜けていたよ」
司は俺の方を見て、また涙を流す。
その理由は?
そしてその意味は?
俺を期待させるなよ。
「どうして、歩は俺の好きなモノを奪っていくんだよ…」
この言葉が儚く、そして切なく、俺の心に突き刺していく。