大きくため息をつき、畳んである布団に携帯電話を軽く投げつけた。

不可解と不愉快が交錯し、私の気持ちをどうでもよくさせ、完全に何かをしようという考えが頭から無くなっていた。



今日一日は自分にとって、一体何のためにあったのだろう。

今日一日は自分にとって、一体どういう意味があったのだろう。


―分からねえけどさ・・・―


突然、頭の中にあのときのあいつの言葉が甦ってきた。

それと同時に閉じかけていた瞼が無意識に開き、暗い天井を眺めた。


―別に今は分からなくても良いんじゃねえの。

これから生きていくうえで、いつか『ああ、あのときに旅したからこんな風になれたんだ』って、思えるときがきっとくる。

そのときにこの経験は意味を持ってくるんじゃないの―


あのときの経験に意味を持てたなどと、偉そうに言えることはしていない。

まだ、私はそこまでのことをしているとは思えないし、そこまでのことをしようとしていない。

そう考えると、今日という日を無駄にしてしまった私が無性に腹立たしくなってきてしまった。