僕は、もしかしたら彼女は、泣いているのかもしれないと思った。
彼女は無言のまま歩いて、その後には、
………
カチャリ
味気ない、乾いたドアの閉まる音だけが響いた。
………
ブーーン……
野中七海の不在で静まり返ってしまったキッチンには、冷蔵庫のコンプレッサーの音だけが響いた。
僕は聞き耳を立てて、歩太の部屋にいるはずの野中七海の様子を窺う。
彼女のすすり泣く様な声が聞こえるような気もするけれど、やっぱり僕の思い過ごしかもしれない。
気にしすぎなのだ。
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