そんな歩太宛てに、あの手紙が届いてから、一週間が過ぎようとしていたある日の事。
ピンポーン
大きく鳴り響く玄関の呼び出しベルで、僕は目を覚ました。
渋々顔を上げると、デジタルの時計は、まだ午前7:18を示している。
一限から大学へ行くにしても、なかなか起きない時間帯だ。
「……ったく、こんな朝っぱらからーー…尚子かー…?」
僕がノソノソとベットから這い出す間に、「ピンポン」は二回、三回と鳴り響いた。
「はーい、はいはい!」
そう叫んでも、「ピンポン」は止まない。
僕はズボンで足がもつれながら、何とか玄関まで辿り着くと、半ばイライラしながら勢いよくドアを開けた。
「…ったく……」
僕はそう言いかけて顔を上げてから、思わず口を噤んだ。
僕の目の前に立っているのは尚子なんかではなく、透き通るように華奢で綺麗な、見知らぬ女の子だったからだ。