「ブルーバード」はフードメニューも充実していると野中七海が言うので、食事も摂らずに早めにホテルを出た。


間違いなく仙台(ここ)に歩太が訪れていたという事実を知り、前回とは違う、何かはっきりとした目的が僕達には見えていた。

「ブルーバード」にも歩太は必ず立ち寄っているだろう。
今度はどんな歩太と再会するのだろうか。
ただ、その覚悟だけが必要だった。



………


「いらっしゃい」


「ブルーバード」の重い扉を開けると、視界いっぱいに青い鳥の群れが飛び込んで来た。
店内の照明は淡いブルーで統一され、薄暗い。
入り口から正面の白い壁だけにスポットライトが当てられ、青い鳥のイラストが浮かび上がるようになっているのだ。

そのブルーな雰囲気は、やはり「COM」を彷彿させた。
「COM」の内装は、新装する際に歩太がオーナーに随分口を出したと聞いていたから、この店をイメージしていたに違いない……そう思った。