「ちょっと、コンビニへ行ってくるよ」


そこにじっとしていられなくて、僕はそう言って部屋を出た。

その部屋にベッドがあるというだけで、男という生き物は必要以上にソワソワしてしまう。
一緒にいる相手に好意があるのなら尚更。
それが大切な女(ひと)であるなら、自然に沸き上がってしまう下心を悟られたくないとも。


………


外で何本か煙草を吸い、熱い缶コーヒーを二本買った。
それからブラブラと、宛もなく歩く。

コンビニから裏通りに入り、オフィス街を抜け一時間くらい遠回りをして歩いた。
ホテルに着く頃には、缶コーヒーはすっかり冷めてしまっていて、それを受け取った彼女は上目遣いで僕を見て微笑んだ。

僕は、その視線に何もかも見透かされたような気がして、苦笑いで誤魔化す。