………
いつの間にか僕は、そのまま眠ってしまっていた。
携帯で時間を確認すると、夜の7時を回った所だった。
着信が入っている。
工藤さんからだ。
メールも入っている。
尚子からだった。
体を持ち上げると頭が重い。
首に、鈍い痛みが走った。
………
……電話をする気にも、メールの返信をする気にもなれなかった。
二人とも、真剣に僕達を心配してくれているに違いない。
例えば、変わってしまった街並みや、なくなってしまっていたマンション、三角巾の女性のようには、彼らは僕達を裏切ったりはしないだろう。
けれどもこの気持ちを、いったいどう表現すればいい。
どう隠せば………
……わからない。
ただ、早く、野中七海の綺麗な顔を眺めたい。
うふふ、と笑う細い声を聞きたい。
そうしてできるなら、この痛みを共有する術を一緒に探し出してみたい。
……そう、思う。