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電話を切ると途端に、耳が痛くなるほどの沈黙が訪れた。
電話というものは不思議なもので、そこに同じ時間が流れているとは思えない。
切り取られた空間と切り取られた空間。
それを隔てているものはとてつもなく大きい。
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……この、僕の。
胸を抉るような鈍痛を、いったい誰が理解してくれるだろう。
痛みというものはものすごく個人的なもので、全く誰にもどうしようもないものなのだと、改めて感じさせられてしまう。
野中七海のそれもまた。
歩太のそれも、もちろん。
電波で繋がろうが。
言葉で繋がろうが。
体温で繋がろうが。
同じ時間と空間を共有していてでさえ。
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僕は静かにベッドに寝転がり、天井を眺める。
随分つまらない再会の仕方をしてしまった、と思う。
仙台(ここ)には、歩太の痛みしか宿っていない。
時間を越えて歩太の軌跡を辿るためには、僕はもう少し、彼を知る必要があったのかもしれない。