そのままファーストフードでハンバーガーのセットを注文し、言葉少なに胃袋に放り込んでから、僕達はホテルへ戻った。

「おやすみ」

と言って、野中七海はドアの前で僕に笑顔を見せてくれたけれども、そこにははっきりと疲れが見てとれた。


「おやすみ」

と僕も言ってから、また大きな溜め息が出る。


部屋に入りドアを閉めると、しんとした、二人で居る時とはまた違う静けさが現れる。
その孤独は身軽で、どこか清々した気持ちにも似ている。


………


早く。
そう、本当に早く。
こんな軽やかな孤独感を野中七海と分かち合いたい。

誰かがここにいない寂しさより、独りぼっちであることの寂しさを、温かい食事や下らないお喋りで埋め尽くしたい。

形のない歩太に追われるなんてもう懲り懲りだ。
それならばこちらから追って、何もかも、はっきりさせてやるしかない。

歩太の、本当の所在を。