行き場の無くなった僕達は、とりあえず近くにある狭いファーストフード店に入る事にした。
嫌に騒がしい店内でできるだけ人を避け、一番奥のカウンターに腰を掛ける。


「明日、ママに電話を入れてみよう。
休みを1日、延ばしてもらうんだ」


紙コップに入った酸味のキツいコーヒーを啜りながら、僕はそう提案した。


「ホテルにも、もう一泊できるか聞いてみよう。
新幹線も、キャンセルすればいい。今からじゃ指定席はとれないだろうけど、自由席を買って、5日の午前中にこっちを出れば、その日の出勤には間に合うだろう」


僕の言葉に、彼女は黙って頷く。


突然二人とも店を休む事になれば、叱られるかもしれないけれど、事情を話せばママも多目に見てくれるだろう。

野中七海の希望を、僕はできるだけ叶えてやりたかった。