次にこのドアを開ける時、僕達はどう変わっているのだろうかとドアノブを握りながら考えてみる。
そのひんやりとした感触からは、当然、何も伝わって来ない。
………
カチャリ
鍵をかけ、僕達はゆっくりとアパートを後にする。
途中のコンビニで、温かい缶コーヒーと煙草、それから野中七海はあのヨーグルトがけのレーズンを買った。
行き掛けに食べるつもりなのか、歩太へのお土産なのか。
彼女はそれをコートのポケットに大切そうに仕舞った。
………
「いい休日にしよう」
僕はわざと言葉に出して、自分にそう言い聞かせた。
僕たちはこれから、大きな節目を迎える事になるのだ。