尚子の軽い質問だった。

僕は買ってきたビールやワイン、シャンパンを冷蔵庫へと運び、野中七海は用意した皿におつまみを並べながら……


………


「クリスマスは、嫌いなの」


そう答えた。


「え?」


咄嗟に声を出したのは、僕。
振り返って彼女を見ると、口元をギュウと結んでいる。


「わたしにとってクリスマスは、一年の中で最も不吉な日」


………


「えー、不吉? クリスマスが?」


尚子が驚いてそう繰り返すと、


「でも今日はまだ23日」


そう言って、野中七海は微笑んだ。


「ふーん。
あたしはクリスマスより、誕生日のがキライだけどなあ」


尚子はとぼけて、それ以上は突っ込まない。
その方がパーティーも楽しくなるはずだ。