イタリアンレストランを出ると、僕達はレンタルショップへと寄り、何本かのDVDを借りてアパートへ帰った。
そこでも僕には選択権はなく、そのDVDの殆どが、最近尚子がハマっている韓国映画だった。
いったい、今日のうちに何本観る気なのか。
連続ものが三本、その他に二本、合計五本もある。
………
幸い、部屋に上がり込んですぐにテレビにかじりついた尚子は、例の手紙の事はすっかり忘れている様子だった。
なので僕は、率先して自分からキッチンへと通い、ビールやおつまみを用意したりした。
冷蔵庫の扉に貼り付けた手紙も、眼鏡屋のチラシの裏に隠した。
………
この手紙は、歩太以外の人間に面白可笑しく読み回されるような、そんな代物ではない。
もっとずっと神々しくて、繊細なものなのだ。
僕はいつの間にかそんな風に、あの手紙をかばうようになっていた。
何故だかは、わからないけれど。