重く、だるい脚を無理矢理にベッドから剥がす様にして立ち上がる。



トトトト……
トト……


……雨?

窓の外から、微かに雨音が漏れていた。

12月の雨。
もしかしたら雪になるかもしれないな、と思う。


厚手のニットを着込み、ジーンズを履く。
部屋を出ると、廊下はひどく冷えていた。
足の先がピリピリするほどだ。
キッチンのヒーターまで思わず小走りになる。


キッチンに野中七海の姿はなかった。
コーヒーメーカーも作動していない。
やっぱり彼女はまだ、眠っているのだろうか。

こんな事は珍しい。
彼女はどんなに夜が遅くなっても、朝はいつも早い。
……具合が悪いのでなければいいけれど。

僕はヒーターのスイッチを入れ、やかんに火をかける。


……痛いくらい静かだ。


お湯が沸く間に僕は煙草を一本くわえる。
そうして静かに煙を吐きながら、昨日の事を思い出していた。