「でもねぇ、本当には分かり合えないから面白いのよねぇ。
他人と他人。男と女は、ねぇ?
どこまで行っても平行線。
近付いても、絶対に交わらないじゃない?」
「……まあ、理解できない事を理解したいと思うのが、人の常ですからね」
「それはもちろんそうねぇ。
その気持ちがなければ、今以上の未来は望めないわけですから」
「おっと、ママもまるで技術者みたいな事を言いますねぇ」
二人の会話の間に、僕の入る隙はなかった。
トマトジュースで、まるで酔っている様に饒舌なママ。
それを楽しむ工藤さん。
ママと工藤さんは、いつもこんな調子なのだ。