……… 「もう、あたし達みんなさ、歩太に捨てられちゃったのよ」 尚子は半分冗談のように、そう呟いた。 歩太に捨てられた? 僕も? それは、困る。 あのアパートは歩太名義で借りているものだし。 今の時点では、歩太が家賃を前払いしていてくれるものの、このまままた4月が来れば、僕は今の家賃の倍の料金を支払わなくてはならない。 僕はとっさに、家賃の事などを考えた。