それから数日が経過して、僕達の間には小さいながらも確かに変化はあった。
どこがとか、どうとか、明確に示せる変化ではないかもしれないけれど。
どこか少し、彼女が僕に対して何か甘えに近いような、親近感の様なものを求める事が増えた様な気がする。
……そう、例えば。
………
「アユニ、今日はお天気がいいから、たまには二人で美味しいものを食べにいきましょう?」
今朝、アパートを出ようとする僕にそう言って、玄関先で彼女はにっこりと微笑んだ。
「さくらに出勤する前に、いいでしょう?
わたし、今日、アユニの大学まで迎えに行くわ。
今日は二時半に終わるのよね?」
黒く艶のある髪を揺らしながら、廊下の壁にもたれて笑う彼女は、どこかはしゃいでる様にも感じられる。