「でも、かわいそうね。
その、野中七海って子も」
パスタとサラダを一人で平らげ、デザートのクリームソーダに取りかかりながら、尚子は突然、しんみりと呟いた。
「歩太に関わった人は、みんな不幸だわ。
ナンもカンも置いて行っちゃってさ、アイツ」
尚子は、ショートパンツからむき出しになった白い太ももを持ち上げ、足を組み直す。
隣の席のサラリーマンが、チラリと尚子に視線を泳がせた。
「アイツさあ、いっつも難しい事ばっか考えてたからさ、パンクしちゃったんだよね、きっと」
尚子はそう呟いて、嫌に濃いグリーンのソーダ水の上に浮かぶアイスクリームをスプーンでくるくる動かした。
「……んーー」
僕は尚子の話を半分聞き半分流しながら、適当な相槌を打つ。