「自分が少し変だってこと、ちゃんと、わかってるのよ?」
彼女は長いまつげをフワリと持ち上げて、僕を見た。
どこか少し、不安げな表情だ。
……変?
さっきの発作の事を言っているのだろうか。
「変だなんて、そんな……」
僕はまた、曖昧な事を言って会話を濁そうとする。
慌てて、ジーンズのポケットにねじ込んであった煙草を取り出した。
僕は、黙って煙草を吸っていた方がいいのかもしれない。
「わかってるの。
だからわたし、ずっと、ここに来れなかったのよ。
パパにもずいぶん、叱られて……」
パパ……
彼女のその響きには、何だか妙に違和感があった。
まるで、幼い少女が父親に怯えながら、それでも無条件に強く慕う様な、そんな……
彼女は僕から視線を逸らして、それから煙草を一口吸った。
それからまた、一口。
僕も、静かに自分の煙草に火をつける。