尚子は、夜を一人で過ごす事ができない。


天性の明るさと軽さで、尚子はキャバクラでも常にトップ争いをし、そのうちの上客さん何人かとは、週に何度か夜も共にしている。

彼氏や僕以外にも、しっかり幾つかの寝床をキープしているのだ。


それについて彼氏は、知ってか知らずか、決して口出しはしないらしい。

キャバクラで働いている事も、最初こそ内緒にしていたらしいけれども、バレてしまってからは、至って堂々としている。


『だってもう、私たち、6年なのよ』

僕の素朴な疑問には大抵、そんな答えが返ってきた。

恋愛経験の乏しい僕には分からないけれど、男と女の間にはもしかしたら、年月が風化させる何かは、確かにあるのかもしれない。