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沈黙が、どこかいつもよりも重かった。
僕達はいつも、格別会話がある訳でもない。
二人きりで向かい合えば、何を探るでもなく俯いたまま時間を過ごす事も多い。
各々が黙々と煙草をふかし、コーヒーを啜る。
そんな時間が、少なくないのだ。
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もちろん、尚子がいればそれはそれでまた違う空気がある。
尚子は典型的なお喋りで、下らない事を誇張して面白おかしくする才能がある。
野中七海と一緒にいる時は尚更だ。
尚子がこれほどまでにお喋りだとは、僕だって知らなかったくらいだ。
けれども僕と野中七海の間には、ほんの些細な会話と必要な連絡事項、たったそれだけがあれば、それで充分によかった。
後はただジッと、お互いを目の前にして座っている。
本を読む歩太とも、よくそんな時間を過ごしてきた。
それはもちろん、野中七海だって同じだろう。
だから僕達にとっては、沈黙は決して苦痛ではない。
慣れているのだ。