『そういえば歩太宛てに、野中七海とゆう女の子から手紙が来たよ』 僕はそう言っただけなのに、尚子は軽はずみな想像で、一人暴走し出している。 女と聞けばすぐに、歩太の昔の女だと勘ぐる。 ……確かに僕も、始めはそう思ったのだけれど。 「やっぱ歩太に捨てられたクチだね、その子も。 かわいそうだけど」 そう言って尚子は何故か、どこか得意気だ。