「えっ? ノナカ? 野中七海?」
大きな目を、更に大きく見開いた尚子の口からは、今にもパスタが飛び出してしまいそうだった。
ぼってりとした大きな唇の端には、トマトソースがベッタリとくっついている。
「うーーん。あたしも知らないけど。
もしかして歩太の元カノ?
ちょっと、あたしにも読ましてよ、ソレ。手紙」
さらにパスタを頬張りながら、軽い調子で尚子が言う。
それを見ながら、つい尚子にあの手紙の話をしてしまった事を、僕はすっかり後悔してしまっていた。
「今ごろ歩太に新しい女浮上ってカンジ?」
尚子は更に、眉間にシワを寄せながら怪訝そうに言う。