「……ああ……」


僕はさっきから、無意味に
『うん』と『ああ』
ばかりを繰り返している様な気がする。


「お父さんはね、あたしが小さい頃に、よそに女作って出てっちゃって。
……お母さんはね、それでちょっとノイローゼぎみで、育児放棄? ……ってやつ? まあ、ありがちな話だけどさ」


「……うん」


今まで知る事のなかった尚子の事実が、尚子の口から明かされていくのを、僕は相変わらずの相槌で答える。