………
……愚かな?
生まれてしまった命を、愚かな責任などと片付けてしまっていいのだろうか。
こんな時、僕は心底自分が嫌になってしまうほどに、全くもって何の役にも立たない。
ただぐるぐると独りでにこんな仕様もない事ばかりを考えて、何一つ声にはならないのだ。
「あたしね」
そんな沈黙を破って、尚子は、尚子らしからぬ視線でもって僕を見た。
その視線は真っ直ぐに僕へと向かって、何かを訴える様でもある。
いつもの、ただ気だるいだけの尚子の様子ではない。
そんな、雰囲気が漂う。
これも、野中七海の影響だろうか?