そんな事をサラリと言うのだから、驚く。


「え? そう?」


と僕はとぼけてみる。


「だって、アユと二人の秘密の場所の事を知ってるんだもの。小百合さんと工藤さんはきっと、そうゆう仲なんでしょう? 小百合さん、嬉しそうよね、工藤さんがいると」


やっぱり意外と、彼女はぼんやりしているようでよく見ている。


「明日か明後日に、そのバーに行ってくるわ。帰りは工藤さんが送ってくれるから、心配しないでね、アユニ」


……心配に決まっている
と思ったけれども、当然口には出さなかった。

僕には果たして、そんな権利があるだろうか。
そんな風に考えてしまう。


「……了解」


それなので僕はただ弱々しく、そう言って笑うしかないのだ。