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「かっわいいねぇ、あの子。もしかして歩夢の彼女なんか?」


カウンターの一番端の席から、ボックス席ではしゃぐ野中七海の姿を見ながら、常連の工藤さんがニヤリと笑って言った。


「……なに言ってんすか。違いますよ」


僕はカウンターの中で、工藤さんの濃いめの水割りを作りながら言う。


「あーーなるほど。……そうだな。お前の片想いってわけだ」


僕に視線を戻し、やけに嬉しそうな工藤さんの目付きは、昔から思っていたけれどちょっとだけ歩太に似ている。
何もかも、見透かされてしまいそうだ。