ザザーン…ザザーン…

海の音。

カチ カチ カチ カチ

時計の音。

カリカリカリカリ…
カリカリカリカリカリカリ…

シャーペンの音。


PM2:00を過ぎた外には、人通りはまったくなく


穏やかな波の音と

爽やかな潮風がカーテンをゆらし


遠くの灯台では

小さな光が真っ黒な海を照らしている。


誰もが眠るそんな時間に

受験生である硫香は、問題集をめくる手と

ノートに書くシャーペンの動きを止めようとは
しなかった。


カリカリカリカリ……ぱきっ


「あっ…」


芯が折れたと同時に、ふと、我にかえったような
気がした。


「もう こんな時間なんだ。今日のノルマ達成できたし
もうやらなくてもいいかなぁ~。」


大きく伸びをしてふぅと溜め息をついた。

良い風が硫香の髪を揺らす…


「せっかくの塾休みなのに宿題なんて
おばあちゃん家来た意味なくなっちゃう…」


カラカラカラカラ…

窓を全開にすると 満点の星空が夜空を輝いていた。