「好き」







聞こえないような小さな声で言ったのに、静かな山の中では先生の耳に届いてしまった。





「・・・・・・ばか」




立ち止った先生。






「余計なこと考えずに、今は山を登ることに集中しろ」






前を向いたまま先生はそう言った。





うん。


新垣先生っぽい。





先生は、現実にこういう場面に何度も遭遇しているんだろうな。





いきなり告白されたこともたくさんあるんだろう。



その時、先生を好きな生徒はどんな想いでいるんだろう。



私と同じくらい、ドキドキしたりしているのかな。