「ごめんなさい。用事が出来てものすご~く、残念なのだけれど準備には行けないみたいなの。でも、お祭りには行ってもいいかしら?」

 準備のためにと通ってから二日目の帰り道、リディアンナ様はそう言い出したのだ。

 そう言いながら、何故か地主様の方もちらりちらりと窺っていた。

 どうしてもお祭りには参加したい。

 本当は準備もこのまま続けたいが、リディアンナ様のお立場上、これ以上無理らしかった。


「ねぇ、カルヴィナ。お祭りの準備がどんな様子だったかは、話して聞かせてちょうだいね? 絶対よ! 約束なんだから」


 はい、もちろんです。

 そう強く頷いて見せると、リディアンナ様はにっこりと笑った。

 ぎゅうっと抱きつかれ耳元で「絶対よ! 絶対なんだから」と、繰り返し言われた。

 だから私も同じように「はい、絶対です」と、約束した。

 でも、いざ話すとなると、何をどう言ったらいいのか。

 ちょっと、途方に暮れ始めている。

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 そんな事を考えながら、これから迎えるであろう沈黙に耐えようと思った。