「オレはランシュの安否を知っている以上、局に通知する義務がある。同時にランシュの作った違法なロボットがここにあるという事もだ。局に引き渡せば、おまえは間違いなく、機能停止処分になる。最悪、解体されるだろう」


 ランシュはフッと笑い、目を伏せた。


「あなたはやはり冷酷な人だ。オレに……ランシュに、改めてもう一度死ねと言うんですね」


 ロイドは感情を押し殺し、ランシュに最後通牒(さいごつうちょう)を突きつける。


「ランシュの作ったロボットが、超高性能な事は周知の事実だ。だからどんなに厳重に閉じ込めておいても、オレが寝ている隙にうまく逃げ出してしまう事は充分考えられる。誰も不審に思わないだろう。オレは明日の朝、局に連絡する。おまえはそれまで好きにしろ」

「わかりました」


 無表情で返事をして、ランシュは席を立った。
 ロイドがカップを受け取ると、ランシュは黙って部屋を出て行った。