「本日は急な用向きで、ご予定を狂わせてしまって申し訳ありません」


 ロイドが最も信頼し、片腕となっているだけあって、その堂々とした様子に、結衣は少したじろぐ。


「いえ、特にどうしてもという用事があったわけじゃありませんし。いつもロイドが迷惑をかけてすみません。どうかよろしくお願いします」


 結衣がそう言うと、副局長はにっこり微笑んだ。


「いえ、こちらこそ、目の前で旦那様を怒鳴りつけて申し訳ありませんでした。奥様が寛大かつ聡明な方で助かります。それでは」

「あっ! こらっ!」


 ロイドが再び副局長の肩を掴んだ時、電話の画面は唐突に消えた。

 結衣は大きくため息をつきながら、力が抜けたようにソファに座った。
 テーブルの上の小鳥を取り、電源を入れて頭を撫で始める。