二人の怒鳴り合いが、自分とロイドの距離を、引き離していくように感じた。
 別に仲良くしているわけでもないのに、これ以上見ていたくない。

 そう思った結衣は、思わず大きな声でロイドを制した。


「ロイド! 本当に気にしなくていいから! 局長なのに、迷惑かけちゃダメよ」


 二人はピタリと怒鳴り合いを止め、同時にこちらを向く。

 副局長と思われる女性が、片手でロイドを脇に押しやり、電話の前にやってきた。

 画面の前で彼女は、先ほどとは打って変わって、柔和な笑みを浮かべ結衣を見つめる。


「初めまして。副局長のフェティ=クリネと申します」
「おまえ、何を勝手に……!」


 文句を言いながら肩を掴んだロイドの手を、強引に振りほどき、副局長は言葉を続けた。