ロイドの謝罪を上の空に聞きながら、結衣の胸の中にモヤモヤとした感情がこみ上げてくる。

 結衣は微笑むと、自分でも驚くほど冷静な声で、ロイドに答えた。


「大丈夫よ。お仕事なんだから、頑張ってね」
「ユイ……」


 ロイドは一瞬呆然としたように見つめた後、振り返って後ろの女性に怒鳴った。


「おい、フェティ! オレは明日休むぞ!」


 女性は眉をつり上げて、怒鳴り返す。


「何、勝手な事を言ってるんですか!」
「オレは一月近く休んでないんだ! 邪魔するなら労働基準局に訴えるぞ!」
「私だって、あなたの補佐で休んでいません!」


 ロイドの補佐という事は、彼女はやはり副局長なのだ。