じりじりとゆっくり、時間が過ぎていく。
 ロイドの帰りを、いかに待ちわびているかを実感する。

 ようやく閉店時間になり、結衣は店を閉めて家の中に戻った。

 リビングに入った途端、電話が鳴り響く。
 慌てて駆け寄り、液晶画面に表示された相手先を見てギクリとした。

 科学技術局——。

 一瞬にして、嫌な予感が胸の中を支配する。
 結衣はためらいがちに応答ボタンを押した。

 画面に映し出されたロイドが、いきなり頭を下げる。


「すまない、ユイ。早く帰れなくなった」


 急な来客で接待が入り、帰りはいつになるか分からないという。

 申し訳なさそうに何度も謝るロイドの少し後ろに、スーツ姿の凛とした金髪の美しい女性が立っているのが見えた。

 無表情にロイドの背中を見つめる、理知的なブルーの瞳。
 彼女がおそらく副局長なのだろう。