「だって、ずっと顔がニヤけてるもん。バレバレだよ。何かいい事あったの?」


 バレバレなら仕方ない。
 益々笑われるかもしれないが、結衣はおずおずと白状した。


「些細な事なんだけどね、今夜はロイドが早く帰ってくるの」
「ふーん。そうなんだ。久しぶりだもんね、先生が早く帰ってくるの」
「うん」


 結衣は笑顔で頷く。
 するとランシュは、結衣を見つめて淡い笑みを浮かべた。

「たったそれだけの事で、ユイはウキウキするほど嬉しいんだね。ソータが言った通り、確かにラブラブ夫婦だよ。オレとしては、ちょっと妬けるな」

「え?」


 結衣が不思議そうに見つめ返すと、ランシュはごまかすように笑った。


「オレにはそこまで想ってくれる人いないしね」