きっと3秒くらいしか経ってなかっただろう

でも、俺は30秒…いや1分くらい経ったようにも思えた。


それくらい長く感じたのだ。




「ごめんなさいっ」

唯はそう言って俺の手を離した。

でも今度は俺が唯の手を握り、
胸に近づける



「どうして…」

戸惑った様子で聞いてくる。


どうしてだろう…
なんでこんな事してるんだろう



『わかんねぇ』

今まで目を合わせていた唯から
視線を外しそう言った。

「そんな事されたら私、
期待してしまうじゃん…」



『期待しろよ』


俺、何言ってんだよ。
これじゃ好きって言ってるのと同じじゃねーかよ…


『……』

「……」


唯は目から大粒の涙を落とし、
俺の手を振り離すと走ってどこかへ行ってしまった。