「ゆいっ!!!」


俺がじっと唯を見ていると、
左の耳から叫ぶ声に近いほどの音が入ってきた。


『おばさんっ』

「健人くんっどういうこと?
唯、傷だらけじゃないっ」


唯のお母さんは電話で話していたときと
全然違うくてパニックをおこしていた。

落ち着きもなく、俺が知っている
おばさんじゃないみたい…


「おかあ…さん?」


必死に手を動かして
お母さんを探している唯。

その光景におばさんは固まり、
頬に一粒の筋が流れた。


「大島唯さんのお母さんで
いらっしゃいますか?」

「はいっ大島の母です」


「先生が診察室で待っています

こちらです」


おばさんは看護師さんに
診察室へと連れていかれた。

それでも唯は必死におばさんを探している。


「お母さんっお母さんっ」