俺は病院の中へと入り、
唯が座っている横に腰を下ろした。


ビクッと跳ねる唯の肩。

その肩をそっと抱き寄せる…


『おれ…健人だよ』


そう優しい声で話すと唯の肩の力が抜けた。


周りを見ると人は2、3人くらい…
俺達が座っている横には自販機。


そう言えばあれから何も口にしていなかったな…
ジュースでも買うか。

自販機の前に行こうと立った時だった。


「行かないで…」


俺の服の裾を強く掴み、
離さない唯が小さな小さな声でそう言った。

唯の頭に手をのせ優しく撫でる


『大丈夫。
俺はどこにも行かないよ

ちょっとそこにある自販機で
ジュース買いに行くだけだ』


ドラマの台詞に出てきそうな言葉を
サラサラと言ってしまう自分に驚きながらも

俺はしっかりと唯を見つめた。


唯のあの言葉が俺を必要としてくれてる
みたいで

なんだか嬉しかった。