俺は緊急検査室から出てきた唯を
椅子に座らせて病院の外へ出た。


電話帳の中にある
【大島唯 家】のボタンを押し発信する。

何回かコールが鳴る…


「はい、大島です」


唯のお母さんだ。

唯のお母さんとは面識がある

デートをして唯を家まで送るときに
丁度会って挨拶をした事があった。


『あのっ…健人です…お久しぶりです』

「あら~健人くんっどうしたの?」


唯の声と唯のお母さんの声はよく似ている。
まるで唯と話をしているみたいだ。


『いま唯と総合病院に来ているんです

看護師さんに

唯の家族が来てもらえるようにって
言われたから電話したんですけど…』


唯のお母さんは何となく状況を察したのか


「分かったわ…今から行きます」


そう言って電話を切った。