それにしても唯の姿が見えない。

北入り口から反対の南入り口まで来たのに
いなかった…

てか人、一人見なかった。


『唯どこにいるんだよ…』


そう呟いた時、

道の真ん中でうずくまっている
女の子の後ろ姿が目に入った。

よく見ると唯の後ろ姿に似ている…


『ゆいっ!!!』

そう叫んで呼んでみると
その女の子は辺りをキョロキョロとしだした。


唯だ。


唯の側に急いで駆けつけ、
着ていたコートを唯の肩へと掛ける。

唯の手は真っ赤に染まっていて
タイツはビリビリに破けていた。


唯はずっと泣いていたのだろう…
化粧が崩れている


『立てるか?』

「……ぃ…」

『えっ!?』


声が小さすぎて上手く聞き取れない。


「見えっないの…」

『見えないって…




目が見えないのか…?』


唯は小さく頷く


冗談だろ…

そんなこと事を思ったけれど
この状況で冗談なんか言えない…


『とりあえず病院に行くぞ』