~健人 side~


傾く太陽に目を細め時計台を見る。

もう【4:45】だ。


いつも待ち合わせ時間の15分前には
ついている唯。

でも今日は早く来るどころかまだ来てすらもいない。


『どうしたんだろ…』


俺はコートのポケットに手を入れ、
入っていた携帯を取り出した。

履歴の一番上にある【大島 唯】の
ボタンを押し、電話をかける。


プルルルルルルッ

プルルルルルルッ


だけど何回コールが鳴っても唯はでない。


『まさかドタキャンとかじゃないよな』


俺はめげすにもう一度かけ直す。


プルルルルルルッ

プルルルルルルッ

プチッ


『ゆいっ!?
どうしたんだよっ』


やっと繋がった電話。

心配しているはずなのに俺は怒鳴ってしまった。

だけど向こうからの返答はない…