『ねぇ唯っ!!』

教科書とにらめっこをしていた
唯に話しかけた。


『来月バレンタインじゃん!
健人になにあげるか決めた?』

シャーペンを持ち、
私の目をじっと見て石のように固まる唯。


「何も考えてなかったー!!」

シャーペンを投げ捨て、
頭をグシャグシャにして叫ぶ。

「どーしよ、どーしよ!!」


慌てているが、私はこうなることを
予測してあるものを持ってきていた。

『ジャジャーン!!』


私が取り出した物。

それは…

「バレンタイン間近!! お菓子作りレシピ~!?!?」

お菓子のレシピがたくさん載っている本を
家から持ってきたのだ。


『やっぱりバレンタインだから~
チョコケーキとかよさそうっ

龍、甘いの好きって言ってたし!!』


龍は甘いのが大好き。

休日はよく二人でケーキバイキングなんか
行って吐きそうになるまで食べる。


「健人は甘いのどうなんだろ~」

「俺、バレンタイン嫌い」


机に頬杖をついて、
考えている唯の頭上から降ってきた言葉。