俺たちは頂上についた。
俺はゴーグルをしっかりとハメ、
器具が緩んでないかしっかりと確認する。
その俺の行動を見て、
子ザルが親ザルの真似をするように
唯も俺の真似をしだした。
小動物みたいで、
ちょっとでも力を強めると壊れそうな背中。
その背中が壊れないようにそっと手を添えた…
『怖がらなくて大丈夫だからな
自分のしたいように滑れよ
俺は先に行って下から唯を見てるから
転んでも大丈夫。
俺が助けに行ってやるよ』
回りに聞こえないように耳に近づけて
そう喋ると唯はゆっくりと頷いてくれた。
『じゃっお先に!』
俺はそう言って、一歩踏み出した。
だんだんと加速していくスピード。
頬をかすめる風
水しぶきのような雪
俺の全ての五感が懐かしいと叫んでいる…
そんなことを考えていると
いつの間にか下にいて滑り終わっていた。
『やっぱり早いな…
でも、気持ちいい!!!!』
俺はいちご位の大きさの唯に
滑っていいよと両手を大きく振った…
けれど、唯の目はかすんできっと見えていないだろう…